わたし達きょうだいと一緒に育った、キジトラの双子の話をするわ。

名前はモモタとかぐや。

いつも一緒にいる、仲良し兄妹。

モモタはのんびり屋で、そのくせ気の利くハンサムで、どんな女の子にもモテたわ。

かぐやはそんなお兄ちゃんに甘やかされた、おてんば姫。お気に入りのおもちゃを何個も破壊してきた強者よ。

半月ほどしか違わないから、ご飯も遊びもなんでも一緒にしたわ。

たくさんイタズラしたり、かくれんぼしたりして、あの頃のことを思い出すと、フジワラは眩暈がするみたい。

モモタとかぐやのお母さんもセンターに来る予定だったけど、「猫エイズ」だと分かったから、来れなかったらしいわ。

お外にいる猫は、そういう病気の「リスク」があるんですって。

でも、別のシェルターで過ごしているらしいわ。

あの双子のお母さんだから、きっとたくましく元気にしていると思うの。

1年近く一緒に過ごした去年の春、モモタとかぐやは、やっぱり一緒に、ずっとのおうちに行くことになった。

そうよね。あんなに仲が良いのだから、一緒がいいわよね。

わたしがその後ひと月以上しょんぼりしていたことは、ここだけの秘密よ。

だってあの子達のこと、大好きだったんだもの。